投機戦記
第二章 ブラックマンデイ編(過剰流動性相場の果てに・・・)
その3
ビギナーの俺にとって過剰流流動制相場とは何だっやのか?
世の中は活況をていしていた。
今から想うとバブっていたのだろうか?
俺の会社・・・・最後発の自動車メーカーでの仕事はとんでもないプロジェクトが進行していた。
「フェラーリを超えるスポーツカーを開発せよ!」
その指令は簡潔明瞭だった。
パワー/ウエイトレシオを上げれば世界一のスポーツカーが出来る。
このように書くといかにもカッコいい仕事をしているように聞こえるが、
要は1gでも軽く作れということだった。
当時は当たり前のように鋳鉄で作られていた部品をアルミで作れ。
頭を抱え、冷汗を流しながら部品の軽量化が始まっていた。
この、血沸き肉踊る仕事の他に、俺にはもう一つの血沸き肉踊る世界があった。
俺は買い集めた。
日々のチャートを眺めながら
押し目と思われる押し目には総て買いを寄り成りで入れた。
さあ、
種株は集めた。
いよいよ俺は信用買いを入れだした。
今もよく考える。
が、
結論は未だに見えてはいない。
株とは何か?
当時、俺は右肩上がりの日本経済。
世界一の技術力。
なにより、
世界一の大国アメリカが、日本製のテープレコーダーや、
自動車をハンマーで打ち壊すテレビニュースを見る度に、
未来の薔薇色の人生を夢想し、
そして、株を買った。
株とは何か?
それは株ではなく、資本主義とは何か?
いや、
人間とは何か?との問いかけだったのかも知れない。
だが、
ビギナーズラックは長くは続かない。
その年の春。
証券株は静かに天井を打った。
チャートはウネウネと下りだしたのだ。
右肩上がりの成長を信じる俺にとっては押し目だらけのチャートが続く。
俺は買いまくった。
だが・・・・・
その後、
未だにその最高値を更新した証券株はこの国にはなかった。
なぜ、あの時、俺は証券株のみ買い集めたのだろうか?
過剰流動制相場だと確信していたからなのか?
技術屋の金融屋に対する羨望なのか?
「はしか」だったのだろう。
言葉を変えれば「初恋」でもいい。
いや、
俺の地元の出世頭の才女であり、希望であり、
また、彼女でもあった都市銀行のキャリア「みどり」にたいする競争心か?
嫉妬か?
要するに、今から思えば、欲望の罠に嵌ったのだ。
ビギナーズラックの後に来るのは欲望の罠。
古今東西、相場では当然のようにやってくるらしい。
試練の秋がやって来た。


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